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『汚名』 ヒッチコック

汚名汚名
レオポルダイン・コンスタンティン アルフレッド・ヒッチコック ルイス・カルハーン

1946年アメリカ映画。
撮影技術とその周辺事情についてはみなさん書かれていらっしゃると思うので、なにしろ巨匠ヒッチコックですから(詳しいサイトさま)私はホンについて、感じたことを書いてみます。ネタバレ注意。 時間→
|-(1)-|-(2)-|-(3)-|---(4)---|--(5)--|--(6)--|-(7)-|
|--------(A)------|-------(B)------|-----(C)-----|
※ズレるから、あとで画像作っときます

■A
1.アリシア(イングリッド・バーグマン)の置かれている状況。
2.FBIのデブリン(ケーリー・グラント)と恋におちる。
 恋と愛国心のため、ナチス・スパイ組織に潜入する。
3.ナチの一員セバスチャンに求婚されるがデブリン反対せず。結婚。
■B
4.ワイン倉庫に秘密が?--入る--
5.セバスチャン、アリシアがスパイだと気づく。
■C
6.アリシア毒を盛られる。意識混沌。
7.デブリンが救出する。

この映画の本線は、アリシアとデブリンが結ばれるかどうかだと思うので、サスペンスの要素もその線に沿って語られています。なのでその他の要素は、え?と思うくらいカンタンに済まされていて、たとえばアリシアのお父さんが亡くなったこととか(デブリンが、あっさりと報告してたよね 笑)、ナチのスパイ活動のこととか(なにをどうしてるのか、よく分からない?)、ワンカット入れたくなるところをバッサリと切り落としています。これって案外に重要で、ヒッチコックの映画って全部そうだけど、ポキポキと折れた話が時間軸に沿って流れていくわけですが、折れているからほどよい緊張感を保ちつつ、きれいに本線に沿っていくからなめらかに進行していきます。ヒッチはこの刈り込みが巧みで、どこをどれだけ刈り込めば、最大限に観客から引き出せるのか、それをとてもよく分かっているのだろうなぁ、と私なんかはいつ観ても感動したりします。
それで話の配分は、だいたい上のようになるかと思われます。
AからBへ、BからCへと移行する直前に、そのキッカケとなる出来事が配置され、アリシアとデブリンにとってはどれもマイナス要素となり(カセ)、それと同時にサスペンスの要素も加わって、アリシアがスパイだということが、バレるのかどうなのか、観客の関心ごとは、そこへと移っていきます。ヒッチ先生、観客の気持ちをよくご存知で(笑)アリシアは素人スパイなんだからバレるに決まってるじゃないかと言わんばかりに、やっぱりバレてしまいます。そうしてこの映画の面白くなっていくところ、バレて、それで、どうなるの!? という部分。ナチのスパイたちが出入りしている、危険なあの館から、だれにも気づかれずに出ていくのは不可能だろうと。どうやってだれにも気づかれずに出ていくのかと、観ているわけじゃないですか、観客は。ヒッチ先生、これをまた逆さにします。みんなの見ている前を堂々と出ていきます(笑)堂々と出ていけるように、あらかじめ仕込んであったわけですね♪

ヒッチの特徴、巧みさは、刈り込みのセンス、本線から逸脱しない忠実さ、それと観客の気持ちを推しはかったうえで、あえて逆転させる、トリックの妙だと思います。いま観てもドキッとさせる。ふるい映画なのに古くない。ヒッチはいつ観ても新しいです。

定本 映画術―ヒッチコック・トリュフォー
フランソワ トリュフォー 山田 宏一 蓮實 重彦

4794958188

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COMMENTS



この映画は、私の偏愛する映画です。敬愛するヒチコックのなかでも、大好きです。kairouさんの言われるとおり、刈り込みの凄さは、ときに突っこみたくなるほどで(「めまい」もそうですが)、単純明快なのに、ケーリー・グラントとイングリット・バーグマンという美男美女の恋と仕事、そしてそこに介在する裏切りの可能性、アリシアであれ、デブリンであれ、どちらに感情移入しても、切なくハラハラしました。でもそれは、セバスチャンにしても切なかった。
なんといっても、あのセバスチャン家の階段の使い方は驚きです。階段をあれほど巧妙に使えるのは、ヒチコックならでは、でしょう。映画のなかの階段の凄さは、物語的にはヒチコック、画面的には清順さんでしょうかね。ラストでバーグマンをお姫様抱っこで階段を降りてくるグラント、まざまざと瞼に焼き付いてます。
バーグマンとヒチコックというと、ダリが視覚効果を担当した「白い恐怖」のほうが有名ですけど、私は絶対に「汚名」が好きです。

Lydwineさんへ

お返事が遅くなりました~。
入院してた、って聞きましたけど、大丈夫ですか!? どうぞ、お体を、大事になさってくださいませ。そしてまた、ステキな小説を、読ませてくださいネ♪

さて、ヒッチですが、Lydwineさんの偏愛映画だそうで(にっこり)、私の手元に、『定本・ヒッチコック映画術/トリュフォー』(晶文社)が、あります。ながい長いインタビューものですが、『汚名』のところを見ると、トリュフォーが、こう言っています。

“いよいよ『汚名』ですが、じつは早くこの映画についてお話をうかがいたくてうずうずしていたのです。なんといっても、『汚名』はわたしにとって最高のヒッチコック映画ですし、すくなくとも、あなたの白黒映画ではわたしのいちばん好きな作品なのです。まちがいなくヒッチコック映画の神髄と言っていい作品だとわたしは確信しています”

単純明快というご指摘、それも書かれていますよ~。

“『汚名』は世界中でヒットして何度も再公開されていますが、それはほんとうに嬉しいことです。二十年後のいまになっても、この映画は圧倒的にすばらしく、斬新で、とくにシーンの数はきわめて少なく、ストーリーが一本の線のように筋がとおっているという構成の純粋さによって、シナリオのつくりかたの見本となるべき作品ではないかと思います。最小限の要素で最大限の効果を生みだすというあなたの映画の原理が見事に結実した作品であり…(略)様式化の極致に達していること、単純さのきわみに達していることが、『汚名』という映画のすばらしさではないか…(続く)”

と、とにかくベタ褒めなんです。ほんとにトリュフォーはこの映画が好きなんだと思います。
単純さというのは、たとえば火薬で吹っ飛ばしたり、謎解きの謎がメインになってしまったりと、そういうことを一切止めて、人間を中心に据えて描くという意味ですよね。

>どちらに感情移入しても…
ここ↑、ヒッチが読んだら嬉しいだろうなぁ。登場人物について、ヒッチがせつなく語っていましたから。

んー、なんか話が長くなってしまいますが(笑)。
『汚名』、いいですよね、印象的なシーンもたくさんあるし。
みんなを楽しませてくれるヒッチって、やっぱりスゴイですよね~。

ご心配、ありがとうございます

体調のこと、ご心配くださり、ありがとうございます。
でもぉ~、そのあとの「そしてまた、ステキな小説を、読ませてくださいネ」は、まるでひとごとのような・・・。kairouさんも書いてくださいね。じっくりと、楽しみにしながら待っています。

トリュフォーも「汚名」を愛していたのですね! といいつつ、トリュフォーには、あまり記憶に残っている映画がないのですけど。

私のところは、映画については控えているのですが、是非、kairouさんによる、ビクトル・エリセについての文章も読みたいです。「ミツバチのささやき」って映画がやはり私の偏愛映画なのですが、よかったら観てみてください。科白はきわめてすくないですけど・・・。

Lydwine さんへ

>kairouさんも書いてくださいね。
はいなぁ~e-271
やる気だけは…、笑。

トリュフォーとヒッチは仲良しで、ヒッチを知りたければトリュフォーに聞け、って感じだと思います。おっしゃるとおり、トリュフォーの映画はイマイチだけど、観る人として、ヒッチは評価してたふうです。

ビクトル・エリセですか…、たぶん書かないと思います、あの中上健次といっしょで、笑。
すみませーんe-263

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