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北野武の自殺願望

あの時の、バイク事故――
「自殺願望があったのですか?」と蓮實重彦さん。
「記憶がない。現場の血を見てぞっとした。『自殺したんだな』と思った。下手したらもう1回するような気がする。一番のファンは一番足を引っ張ろうとする。その人が落ちていく様を見たがっているものだと事故の時に痛感した」
ビートたけしの魅力に迫った仏ドキュメンタリー映画「北野武 神出鬼没」(ジャン=ピエール・リモザン監督、99年)のなかでの1コマ。特別企画「カンヌ クラシックス」枠で上映された、そうです。
「いつも不安で不安で仕方がない。おれほど憶病者はいない。開き直らないとむちゃできない」と言い、お笑いの仕事については「どこか売春婦的な心でやっている」とも。

北野武だなぁ…、と思う人もいれば、「格好つけンなよ!」と言いたい同業者の方もいらっしゃるかと。
かつての私の師匠は、おもにテレビで活躍した人ですが、北野武を鼻でわらい、バカにして、まったく相手にしていませんでした。素人がっ! という気持ちが強かったのだろうと思います。昔はどこかに弟子入りして、それこそ鞄持ち、ストレス発散の道具、殴られ蹴飛ばされ、そうしてやっと仕事を現場で肌でおぼえていく、といったようなパターンも、フツーに見られたそうなので(今も? 笑)北野武のようなお笑い芸人が、生意気にも映画なんぞを作り、海外で評価されたからって、格好つけンなよ、おまえに映画が分かるのかよと、はやい話がそういうことのようです。


淀川長治さんが亡くなったとき、文藝の別冊本で『サヨナラ特集・淀川長治』(河出書房新社)というのが出ました。
このなかに、96年に『文藝春秋』に掲載されたぶんで、北野武との対談が載っています。淀川さん曰く、「僕は黒澤さんと、この人だよ。他の人、駄目だよ。(略)他の日本映画観ると食欲無くなるのよ」等々、褒めちぎり、大絶賛。「映画の感覚、凄いねぇ。どの映画観ても、男の孤独言うとキザだけど、なんか淋しい気がするのよね。(略)あの人みたいに(黒澤さん)凝って凝って撮らないでしょう。サササーッと砂煙みたいに作ってる。それで凝ってること言わないでしょう。絶対自分ではね」


この対談のなかで、北野武が『その男、凶暴につき』について触れています。すこし抜書きすると…。


北野「編集マンがいたんです。僕がうしろに立って話しながらやるんだけど、ずいぶん喧嘩になりましたね」
淀川「それは喧嘩になるよ」
北野「『そこで切って』と言うと、『いや、間が長すぎる』っていうから『おれはこの間じゃなきゃ嫌だ』って。その人が、その1回で辞めちゃったんですよ。で、2作目から自分で編集させてもらった」
淀川「うん、よかった」
北野「現場でもそうだったですね。カメラマンに『カメラをこうやって撮って』というと、『それをやると、カメラマン仲間に自分が恥ずかしいからできない』って」
淀川「馬鹿だねぇ」
北野「『なんで』って聞くと『サイズが無茶苦茶だし、このカメラマンは腕がないと思われたら嫌だから撮れません』って。『おれ、このサイズが好きだから、これで撮ってくんねえかな』って大変でしたね。たいてい、現場で助監督と揉めたし。素人が映画の現場に来たんで、自分たちで思ったとおりに撮ろうと思ったらしいです。こっちからこうしてくれって言うと『なんでですか』って言う。『なんでですか』って言われても困るんだけど」
淀川「それはそうだよ」
北野「『勘でいいと思っただけ』って言うと『理屈がないじゃないですか』って」
※注意・この部分では、淀川さん、大人しいですが、全体的にはかなり喋りまくって、北野武のほうが、押されてます(笑)


いや、もう、うちの師匠だけじゃないと。
お笑い芸人なんて、最下層の労働者、自分よりも「下」だという安心感があるから、笑えるのかな…?
ポール牧さんも自殺してしまいましたね。指パッチンは、ともかくとして、笑いのなかに仄見える人間味から、お笑いではない場所でも見せ場があるように感じていたのですが…、残念です。
ビートたけしの自殺2回目は、どうか実現しないようにお願いします。そして黒澤さんの映画はちょっと苦手な私ですが、北野武の映画は周りがなんと言おうとも好きです、期待してます、私は1番のファンじゃないですから、念のため。

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